啼哩

 
不伦告白
不伦告白
完结 | 2010年月
城定秀夫「懺悔~松岡真知子の秘密~」、 
  松浦ひろみは 姉の原紗央莉と暮らしている女教師だが、かって姉の彼氏を寝取った現場を原に見られ、原はそれで飛び降り自殺未遂となり歩けなくなってしまったことの負い目から、姉にいいように命じられて生活していた。 
  ある時クラスでパシリをやっている男子生徒が松浦の音楽室に来てピアノを弾いていて、音大を受けたいからピアノを教えてくれと言う。 
  それから松浦は生徒に教えるために、姉に嘘をついて遅く帰っていたが、ある時クラスの生徒にAVを借りているところを見られてしまう・・・・。 
  城定秀夫の因縁のある姉妹を描いた作品。 
  松浦は家に帰ると男を寝取られたのと足を悪くさせられた恨みで姉の原に命令され、学校でもあまり評価のよくない教師として追い詰められていて、AVを密かに借りて慰めるしかない状況なので、ピアノを教える自分に恋心があって近寄ってきた男子に告白されてたまらず自ら誘ってしまうシーンにそれまでの我慢と鬱憤が爆発したような勢いがあり、それがドラマ的な展開にうまく組み込まれていて説得力のある絡みのシーンになっている。 
  原のイジメに近い命令はエスカレートし、松浦が買って来た服をズタズタに切り裂くだけでなく、テレクラ(まだあるのね)で知り合ったデブ男と無理矢理妹を会わせて、原の前でSEXさせるというところに至る。 
  しかしここでギリギリまで追い詰められ行くのは松浦だけでなく、姉の原の方もであって、つまり姉妹の確執がどんどん頂点にまで上り詰めて両者が追い込まれ、モテなさそうなデブ男にすら呆れられて逃げられた後に、そこから姉妹の隠された愛情が露見していくことになる。 
  この終盤の展開はまるでにっかつロマンポルノの傑作を思わせる秀逸さで、城定の見事な描写力とその独特の才気に唸るばかりである。 
  そんな得難い傑作な一篇。
処女丧失
処女丧失
完结 | 1965年月
“処女喪失”の特集を企画したS週刊誌の敏腕記者天野浩介は、ある男の来訪を受けた。船乗りで山岸敬太と名のるその男は、彼の婚約者橋本綾子が送った手記をさしだした。橋本綾子は、田舎の中学を出ると、横浜で住み込み店員として働き、敬太と婚約したが、店の主人野津の暴力の前に純潔を奪われ、綾子は敬太との結婚をあきらめると、店をとびだして、遂に娼婦に身を崩していた。航海から帰った敬太に、偶然横浜のホテルで再会した綾子はショックから自殺したのだった。話を聞いた浩介は、直接面接に来ると言い置いた女性のうえに思いを馳せた。辻川さと子は、今はサラリーマンの妻となっているが、かつて大阪でバスガールであった時、同僚の恋人に犯され、東京へ職場を代えた。そして、全てを知ったうえで真面目な運転手辻川に求婚されたのだった。今西すえ子、彼女は病院の看護婦であったが、医長から将来を嘱望される外科医大杉春夫に身体を与えた。必ず結婚するという甘い言葉を信じたすえ子は、やがて医長の娘と結婚する大杉を見た。結婚式の当日、すえ子は、大杉夫妻の前で毒盃をあおいだ。桃井ミキ、彼女の手記は、義理の父に純潔を奪われ芸者に売られ、その後温泉あんまになり、今は洋裁学校に通うが、売春現行犯三回逮捕とあった。だが浩介の調べでは出鱈目で、彼女は結婚式場の巫女で、正真正銘の処女であった。処女を結婚へのパスポートとするミキは、それをたてにサラリーマン朝倉をてだまにとるプレイガールであった。処女性を持参金にするミキを憎んだ朝倉はミキに刃物で立ちむかっていった。手記を読んで暗澹たる気持の浩介のもとに、敬太は、旅先で知りあった雅子を連れて訪ねた。浩介はこの特集のしめくくりを“純潔はやはり結婚まで守るべきではなかろうか”と結んだ。